2016年4月14日

4月14日  進まぬ物価上昇

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小売り業績に陰り 今期2%増収も節約志向響く
上場する主要小売業の業績の伸びが2017年2月期に鈍化する見通し。売上高の合計額は前期比2%増、経常利益が7%増と増収増益は確保するものの、前期に比べて勢いは弱まる模様だ。実質賃金の伸び悩みなどから消費者は節約志向を強めていて、経営者も慎重な業績予想を立てている。

消費の伸びが冴えない。今回上場企業の経営者の意見を集めたところ、先々の個人消費は明るくないとの見通しだ。足元で進む円高から訪日客の”爆買い”の力が弱まっているのも一つの要因だろう。各企業、各々工夫を凝らした商品群を市場に投入して顧客争奪戦を繰り広げている。かつて筆者も小売業界の開発室にいたことがある。まだアベノミクスの始まるデフレ時代のことだ。原価率の高い、採算の合わない企画も単純に売上高を拡大するには通さなければならない事もままあった。しかし価格競争の本当の犠牲者はエンドユーザー側の小売企業ではなく、材料や製造を行う仕入元や外注先だ。私も経験があるが、販売価格を下げるために仕入元の業者に卸値について無理をしてもらうことも多かった。「今を乗り切るため」「痛み分け」と都合の良い言葉を並べても最終的に泣きを見るのはこうした卸売企業だ。視点を転じると、コンビニ業界など、こだわりの強い顧客層に向けた商品群や高機能商品の展開で単価を引き上げるのに成功している業態もある。自社の商品が売れないのを為替や景気等の外部環境のせいにし、企業努力を自社に求めない企業からは消費者がどんどん離れてゆくだろう。政府の政策に頼るだけのデフレ脱却ではなく、本当の価値ある商品が消費という需要を喚起するかたちでの物価上昇を望む。

(市川 淳)

デフレ・・・デフレーションの略。物価が下がり続け、経済活動が縮んでいく現象。日本は1997年ごろから、戦後初めて陥った。例えば、牛丼の値段が下がると、消費者はうれしいが、そこで働く従業員の給料も下がる可能性が高くなる。デフレに陥ると、縮み志向が連鎖し、なかなか抜け出せなくなる。