2016年3月18日

3月18日 金融市場の動きに見る投資家と政治家の思惑

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円高進む 輸出に逆風 
円安が輸出を増やす効果が徐々に薄れてきている。財務省が17日公表した2月の税関の平均公示レートは1ドル=117円36銭と前年同月と比べて0.6%の円高だった。前年よりも円高になるのは3年7ヶ月ぶりの出来事。2013年以降は円安傾向を背景に輸出額は増えたが、今後は弱含む可能性が出てきている。

海外投資家による株売越額 過去最大 
海外勢による日本株売りが続いている。東京証券取引所が17日に公表した3月第2週(7~11日)の外国人投資家の売越額は1兆1932億円となり、1982年7月に集計を始めて以来、最大の規模になった。円高傾向を受け2016年度の業績への懸念が広がっているとみられる。割高な先物を売り、割安な現物株を買う「裁定取引」を解消する動きも、売りが膨らむ要因となっている。

直近の経済動向を象徴するようなニュースが並びました。一つ目はアベノミクス以後、円安トレンドにあった為替相場の状況が変わり、円高が進行しているというもの。日銀が1月末にマイナス金利導入を決定してから急に円高に振れていますが、これは「その国の金利が下がると投機的魅力が薄れ通貨が売られやすくなる」というセオリーに反した不思議な現象です。この謎は「円キャリートレード」を解消する動きであると考えられます。低金利で借りた円を別の高金利の通貨に換えるだけで儲けることができたのですが、マイナス金利という史上初の出来事に投資家が困惑し、一旦円を買い戻して手じまいをして様子をみているという考え方です。
二つ目は海外投資家が過去最高額の株を売り越しているということ。日々の売買の約7割を占める海外勢が売り越しているにも関わらず、日経平均株価は比較的安定しています。では誰が株を買い支えているのかを考えると、日銀やGPIFなどの国内機関投資家が浮かんできます。また、安倍首相が消費増税に対して先送りを示唆しているとも取れる発言も出始めました。その背景には、株価を維持した上で「消費増税先送り」を目玉としてこの夏の選挙を乗り切ろうという思惑があるのでは?・・・と考えるのは深読みしすぎでしょうか。

(ナカモト)

円キャリートレード・・・低金利の円を調達(円借り)して、外国為替市場で米ドルや豪ドルといった金利の高い通貨に替え、その国の株式や債券などに投資、運用する取引を円キャリートレードという。金利差益や投資運用益が見込める。