2016年3月9日

3月9日 見えぬ長期金利の底

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長期金利 マイナス金利幅に並ぶ 
8日午後、債券市場で長期金利が一段と低下(債券価格は上昇)した。指標である新発10年物国債利回りは前日比0.055%低いマイナス0.100%まで低下し、史上初めてマイナス0.1%台を付けた。日銀が当座預金の一部に付与しているマイナス金利の幅に並んだ。財務省が公表した30年物国債入札の落札結果が「好調」と受け止められ、幅広い債券が買われた。

日銀が2月16日から導入したマイナス金利の幅に、市場で売買されている国債の金利が追いつきました。高値で国債を買ったとしても、更に高い値段で日銀に買い取ってもらう「日銀トレード」が横行している結果だと見る事ができます。国債の売買で利ザヤを稼ぐ主体が何に期待しているかというと、今月14~15日に行われる日銀政策決定会合での追加緩和です。
今年は夏に参院選を控え、衆議院を解散してのダブル選挙の可能性も残されています。これまで安倍政権はアベノミクスの成果の象徴として「好調な株価」を主張してきた以上、株価の下落は何としても避けたい状況です。また、年金基金や投資信託などを運用するファンドは、月末や決算期末などで評価されています。それらの運用を受託している投資顧問会社や投資信託委託会社、ヘッジファンドなどは顧客からの運用成績への評価を得るために、期末の時価評価額を上げておく必要があるのです。もしも今月の半ばに追加緩和が決定されると、政府にとってもファンドにとっても非常に都合が良いと言えます。
日銀はこれ以上国債の購入枠を増やすことは難しく、追加緩和を実行するとすれば日銀当座預金の金利を▲0.1%から▲0.2%に引き下げることくらいしかできないのではないでしょうか。この追加緩和決定の期待が続く以上、国債の金利低下の底は不透明です。

(ナカモト)

日銀トレード・・・証券会社などが財務省から落札した新発国債を数日で日銀に売却して利ざやを稼ぐ取引。日銀が量的金融緩和策で国債を大量に買い入れるため、転売までに金利が急上昇(価格が急落)しなければ、証券会社は確実に利益を得ることができる。