2016年3月8日

3月8日  消えゆく投資の選択肢

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MMF全社が資金返還 マイナス金利で運用難 
野村アセットマネジメントなど資産運用大手はMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の運用から撤退し、資産を投資家に返す方針を固めたとのことだ。マイナス金利のあおりで安定した利回りを確保できなくなった事が原因となっている。MMFを扱う全11社が償還する見通しで、一時は残高が20兆円を超えた人気投資信託が事実上、姿を消すこととなる。

マイナス金利の影響が投資の選択肢を狭める結果となった。金利の低下は債券での運用にとって直接的な影響を与える。今回、債券を主要な投資先とするMMFが運用益を出せずに販売を中止するという事態が起きた。過去を遡ると、MMFは2001年のエンロン破綻の際に基準価格割れを起こしている。その際は運用失敗の責任を運用会社や販売会社がその責任を負わされたかたちである。今回も販売停止に陥った事態を招いた運用会社の責任は逃れられないだろう。運用各社による「元本割れする前に償還したほうが投資家保護になる」という表向きの釈明はその責任逃れの裏返しとともとれる。しかし、2001年と今回では問題の所在が異なる。本来、安定した利回りでの運用を基本としているMMFだが、2001年の基準価格割れの際は収益性重視の信用リスクの高い債券を組み込んでいた。エンロンの粉飾決算からの経営破綻を端緒に、それが連鎖的に値崩れを起こした格好だ。しかし、今回は明らかに国策によって債券の収益構造が捻じ曲げられた結果といえる。「官製相場」が投資家の選択肢を奪うような歪んだ政策は、今後国民の明るい未来につながるのか、甚だ疑問である。

(市川 淳)

MMF・・・マネー・マネジメント・ファンド(Money Management Fund)の略。安全性の高い債券で運用されている。一般的に預金よりも金利が高い。預けてから30日未満でMMFを解約すると、1万口につき10円(0.1%)の手数料(信託財産留保額)がかかる。30日以上預ければ、手数料なしで銀行口座同様の出金ができる。