2016年2月26日

2月26日 3500億円の後出しジャンケン

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ホンハイ シャープの買収契約を一時延期 
25日、鴻海精密工業はシャープ買収に向けた契約を一時見合わせると発表した。「シャープから24日午前に受け取った文書に、はっきりさせなければいけない内容がある」としており、関係者によると「契約には数日かかる可能性がある」という話が出ている。この文書は約3500億円に達する財務のリスク関連情報で、退職金や他社との契約に関する違約金、政府補助金の返還などに関する内容が含まれているとみられる。

鴻海によるシャープの買収案が受け入れられたと発表されましたが、土壇場で明らかにされた情報によって契約が暫定的に見合わせることになりました。24日に提出された文書というのが、シャープが抱えている3500億円にも上る偶発債務に関するものでした。偶発債務というのは、財務諸表に載らない、将来会社に損失をもたらすおそれのあるもの。昨年末に大ヒットしたテレビドラマ「下町ロケット」でいうところの、裁判で負けた場合に確定債務となる賠償金などのイメージです。
驚いたのはその金額ですが、3500億円となると鴻海がシャープを支援する6600億円の半分を超えています。外資に買収されるとなると、一定数の退職者が出てくるのは予想できますし、退職金は必要になるでしょう。革新機構の支援を選ばなかった以上、政府補助金の返還もやむを得ないのかもしれません。現在進行中の訴訟の行方などもある程度予想がついているはずですので、鴻海からすると「シャープの後出しジャンケン感」が強いと想像でき、契約を延期するのも納得です。
ただし、受託製造サービスを本業とする鴻海にとって「シャープ」というブランドは是非とも欲しいところ。今回のいざこざの結末は、シャープが作り上げたブランド価値を鴻海がどう評価するのかにかかっていると言えそうです。

(ナカモト)

偶発債務・・・現在は実際の債務ではないが、将来一定の条件が発生したとき、負わなければならない潜在的な債務。手形割引による償還義務、債務保証、係争中の訴訟による賠償義務、販売商品に対する保証など。