2015年12月29日

12月29日 原油安が世界にもたらす影響

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サウジアラビア 来年予算 財政赤字10.5兆円
28日、世界最大の原油輸出国であるサウジアラビアは2016年予算を発表した。歳出から歳入を引いた財政赤字は3262億リヤル(約10兆5千億円)で、15年実績見込みよりも約400億リヤル削減する目標を掲げた。底を打つ気配の見えない原油価格の下落が財政を直撃した形。サウジアラビア財務省は同日、財政改革を進める方針を発表。付加価値税をはじめとする新税の導入や補助金の見直しを検討している。

原油安が中東の産油国の盟主サウジアラビアの財政状況に打撃を与えています。サウジアラビアの採算ラインは1バレル(=158.987リットル)あたり70ドルと言われますが、2015年の原油価格はそれを大幅に下回る価格帯で推移しました。これの影響によりこれまで無かった付加価値税の導入などを検討している模様です。
サウジアラビアという国は社会保障が厚く医療費や教育にお金がかかりません。また、水道やガスなども極めて低い料金で利用できますし、ガソリン購入時の補助金も大きいです。オイルマネーによる貿易黒字で潤っているため、外貨準備高も高く、税金はほとんど徴収されないという構図が続いてきました。2010年、チュニジアのジャスミン革命に始まった「アラブの春」では中東周辺で市民革命が相次ぎましたが、サウジアラビアは国王に対する国民の満足度が高く、革命とは無縁でした。
世界中の金融専門家の間で懸念されているのが、今後のオイルマネーの動向です。サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、クウェートの3国のオイルマネーで世界中に投資された金額は2兆ドルを超えます。日本円に換算すると270兆円を超える規模です。原油価格が下がると、中東の産油国は資金の取り崩しを余儀なくされるので、保有していた株式の売却に動きます。原油価格が下がると世界中の株価が下がるメカニズムはそこにありますが、原油価格が低調なままだと世界中の株式市場からオイルマネーが資金を引き揚げてしまうことが恐れられています。ちなみに、イスラーム(イスラム教)はクルアーン(コーラン)で娯楽や酒、利子を取ることなどを禁じているので、それらにまつわる企業に投資することはないとされています。

アラブの春・・・2010年12月にチュニジアで起きた民主化運動(ジャスミン革命)を発端として、北アフリカ・中東のアラブ諸国に波及した民主化要求運動。2011年1月にはエジプトで大規模なデモが発生し、約30年にわたり長期政権を維持してきたムバラク大統領が辞任に追い込まれた。また、同年2月にはリビアで反政府デモが起こり全土に波及。武力衝突に発展しカダフィ政権が崩壊した。他にも、アルジェリア・イエメン・サウジアラビア・ヨルダン・シリアなど多数のアラブ諸国で政府に対するデモや抗議活動が連鎖的に発生した。