2015年12月9日

12月9日 本日のニュースのポイント

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(1)原油安下げ足速める 新興国経済減速に追い打ち
原油相場の下落が再び加速し、世界経済の波乱要因になってきた。ニューヨーク市場の指標原油は8日の取引で一時1バレル(=158.98㍑)あたり36ドル台に下げ、6年10カ月ぶりの安値をつけた。産油国の市場シェア争いは激しさを増す一方で、原油価格の低迷は長引くとの見方が多い。原油安は資源株や新興国通貨にも下落要因となり、減速が鮮明な新興国景気を一段と冷やす懸念がある。

アメリカの原油指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の史上最高値は、2008年に記録した1バレルあたり147ドルです。最高値と比べて価格が4分の1に下がっていることになります。当時はドル安が進行しており、サブプライムローン問題を背景とした投機的取引でマネーが原油に流入していました。また、中国の経済成長が著しく、その大きな需要は原油価格の上昇要因となっていました。緩和マネーの縮小が始まり、中国の経済成長に陰りが見えた現在とは状況が異なります。
原油安で困るのはサウジアラビア・ロシアなどに代表される産油国だけではありません。
キューバとアメリカが今年、歴史的な歩み寄りを見せましたが、この背景には実は原油安の影響があります。南米最大の産油国ベネズエラや4位エクアドル、ボリビアは「反米強硬派」とされ、キューバに対する経済援助を行ってきました。しかし、急速な原油安はベネズエラやエクアドルの経済に打撃を与え、キューバへの支援が細りました。反米国からの援助が少なくなってきたことが、キューバに大きな決断を促した大きな材料であったと考えられます。
また、オイルマネーで潤っていたサウジアラビアの財政難が進むと、先進国において懸念されることがあります。5年で資金がなくなるとも言われるサウジアラビアは、財政を賄うためにこれまで積み上げてきた世界中の金融資産を取り崩すことが考えられます。そうなると、先進国の株価に影響が及ぶのは必至。中国が需要を回復するとは考えにくい状況の中で、今後の原油価格の動向は注目しておきたいところです。

WTI・・・West Texas Intermediate の頭文字の略。WTIは、アメリカ合衆国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称。20世紀初頭にテキサスで前例のない量の石油が発見され、石油取引の中心となった歴史がある。