2017年5月12日

5月12日 経常収支に見る日本の強み

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日本 経常黒字 20兆円

日本の稼ぐ構図が大きく変わってきている。海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支の黒字額は2016年度にリーマン・ショック前に迫る水準を回復。貿易黒字は当時の4割の水準に落ち込む一方、企業が外国の株式などへの投資から得る所得が伸びている。ただ企業が海外で得た稼ぎをそのまま海外に再投資した収益は過去最高のレベル。企業などの稼ぎが国内の雇用や税収に結び付きづらくなっている構造だ。

日本は何十年も経常黒字を続けていますが、その内訳はだいぶ様変わりしました。加工貿易によって貿易黒字が主な稼ぎ頭だったのは過去の話で、現在の主軸は所得収支です。過去の黒字分を投資に回し、その果実を得ているために所得収支が増えているという見方もできますが、貿易収支が変化した理由の一つに日本企業が海外に工場を移したために貿易黒字が縮小したことも挙げられます。また、サービス収支については日本の赤字額が縮小している原因を掘り下げるのも面白いです。まず日本に来る外国人が増えてサービスにお金を使ってくれる額が増えているのは理解できます。もう一つ考えたいのが日本のカルチャーが強くなっている事です。例えば、海外の大物アーティストが来日してコンサートを開いた収益はその自国のサービス収入になり、日本から見るとサービス収支の赤字に計上されます。最近は日本のアーティストやアイドルが海外公演で収益を上げる力が上がっています。ジャニーズのグループやAKBといった女性アイドルがアジア地域で公演を大成功させたというニュースは珍しくなくなりました。これからも収益の構造は変化していくと思いますが、日本という国の強さを再確認できる数字ではないでしょうか。

(仲本 政康)

経常収支・・・一国の国際収支を評価する基準のひとつで、経常勘定といもいう。「貿易収支」「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」の4つから構成される。「貿易収支」はモノの輸入と輸出の差額から算出。「サービス収支」はサービス取引を表す。「所得収支」は対外直接投資や証券投資の収益で、「経常移転収支」は政府開発援助(ODA)のうちの医薬品など現物援助を表す。