2017年3月28日

3月28日 保険会社の苦悩

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生保、死亡保険料下げ 長寿化受け11年ぶり 18年春にも
生命保険各社が2018年4月にも、死亡保障など主力商品の保険料を全面改定する見通しとのことだ。平均寿命の延びを映し、「標準死亡率」を算定団体が11年ぶりに下げるためのもよう。保険会社各社はこれを参考に保険料を決める。10年定期の死亡保険料は5~10%程度下がる見込みで、利益を契約者に還元する予定だ。逆に、長生きがコスト増要因となる医療保険は一部値上げの可能性もある。

生命保険会社が死亡保険料、つまり将来の死亡リスクに備えて入る保険の料金を下げる見通しとなった。背景にあるのは加入者の長寿化がある。医療技術の進展や景気回復による自殺者の減少による平均寿命の延びが影響している。専門家が作る「生命表」の素案によれば、ここ10年で全世代平均の死亡率に関して男性が24.4%、女性で15.0%の改善がみられるとのことだ。日本で生活する人の寿命が延びていくこと自体はいいことだと思う。しかし、そうした状況を受けて保険加入者は死亡保障に重点を置かず、個人年金や終身医療保険といった生きている間に活用できる保険を好むようになる。そうした商品は保険会社にとって預かった保険料をより長期で運用しなければならず、さらにここから更に平均寿命が延びていった場合には支払う保険金が預かる保険料と大きく離れ、逆ざやが深刻化する可能性もある。マイナス金利の影響で運用面にも影を落とす3重苦の状況だ。生命表は厚生労働省が発表するものと日本アクチュアリー会が発表するものがあるが、公開されるものであるだけに保険会社も無視することはできない。各社提携や合併の動きの目立つ保険業界であるが、図体を大きくすることでこの逆境を乗り切ろうとしているように筆者の目には映る。逆に言うと、他に打つ手がないという手詰まり感を感じてしまう。

(市川 淳)

保険料を決めるプロセス・・・保険集団における予想事故発生率と一回の事故による予想損害額から、支払保険金の総額を予測し、これに等しくなる保険料を集団の構成員から集める。このようにして総支払保険金と総保険料は収支が均衡する(収支相等の原則)。実際の保険料は、支払保険金の総額に保険会社の経費・代理店手数料・利益を加算して算出される。