2017年3月9日

3月9日 こじ開ける地銀の懐

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金融庁、地銀に特別検査 まず3グループ 米金利上昇、外債で運用損
金融庁は地方銀行に対し、運用部門に焦点をあてた特別検査を実施するもようだ。地銀は日銀によるマイナス金利政策の導入で投資しにくくなった国債に代わり、少しでも高い利回りを求めて外債や複雑な仕組みの運用商品への投資を膨らませている。足元の米金利上昇で多額の含み損を抱えたり、実際に損失を出したりしている地銀が多い可能性が高いため警戒を強めている。

体力の弱る地銀に追い打ちをかけるように金融庁が動いた。地方経済の弱体化が進むなか、貸出先のない地方銀行の運用先は従来国債だった。しかし、昨年1月のマイナス金利導入から国債での運用が困難になり、米国債やリスクの高い運用手法に偏り始めていたのがここ1年間の動きだった。そこに金融庁の懸念が向かい、今回の特別検査となった。ドラマ「半沢直樹」に出てきたような、血も涙もない特攻が地方銀行の懐を荒らす。
もともと、森金融庁長官の地方銀行への思惑は別のところにあった。地方創生をうたい、資金需要のある地方の企業に資金が向かうよう地銀を誘導するため新しい指針を定めた。保証がないと貸さない、付き合いが長くないと貸さない、といった旧態の地銀の姿勢を改め、将来性のある企業と寄り添い、そのコンサルティングも含めた融資主体として地銀の再生を図ったのが本来の目論みだったのだ。しかし、資金は国内に向かわず、海外や金融機関どうしの手数料や利益にばかり向かっている。結局、バーゼル規制の導入以来、外部の評価を気にして財務体質の改善ばかりに力を入れてきた地銀の本質は大きくは変わっていないのだろう。今回の検査結果がどうなるかはまだ分からないが、突っ込んだ指導を徹底して欲しいと思う。地方経済の活性化を目指す金融庁には半端な介入ではなくしっかり金融機関の手綱を握っていて欲しい。

(市川 淳)

バーゼル規制・・・国際的な金融活動を行う銀行について、信用リスクなどを担保するために、一定以上の自己資本比率を保つことなどを求める指針。国際的な監督規制について、主要国の中央銀行が加盟するバーゼル銀行監督委員会(BCBS)が定める。同委員会がスイスのバーゼルにある国際決済銀行(BIS)に事務局をおくことから「BIS規制」ともいう。