2017年3月2日

3月2日 動けない大統領

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トランプ氏、攻撃色薄める 議会演説政策は具体性欠く
トランプ米大統領は2月28日の初の施政方針演説で「米経済の再起動」を訴え、30年ぶりの税制改革と1兆ドル(約113兆円)のインフラ投資を表明。減税規模など具体策は先送りする一方で「楽観主義は不可能を可能にする」と力説した。原稿をほぼ読み上げて攻撃的な口調を抑えたことで、米国内で評価する声も上がっている。政策実現へ議会との調整力が問われるだろう。

当選から約3ヶ月が経ち、トランプ大統領の言動にも変化が見られる。背景にあるのは思うように動けないトランプ大統領の事情があるだろう。今回の議会演説からも見てとれるが、政策決定において大胆に動けないトランプ氏の苦悩を率直に感じてしまう。元々企業人で政治経験もないうえに、メディアを敵に回し、世界各国からはその保護主義政策の非難が相次ぐ等逆風は強い。彼にとっても誤算だったと筆者は思うのだが、労働長官に指名されたアンドリュー・パズダー氏の辞退や、大統領補佐官マイケル・フリン氏の辞任等、政界内の手綱を操れていない事実もある。そして今回議会演説で具体的な政策が出なかったのは、そもそも議会に提出する議案そのものが出来ておらず、行動に移せない状態だからだろう。法案を作るにも憲法に違反していないか、他の法律との矛盾はないか、立案の意図や根拠が合理的か、税率は何パーセントが妥当か等々、専門家が長い時間をかけて検討し作成しなければならない。現状、腹案に過ぎない政策をかたちにするのに、選挙時のような勢いだけでは実現しない。実業家としてはではなく、政治家としてのトランプ大統領の真の手腕が今後問われる。

 

(市川 淳)

施政方針演説・・・政府の長が議会に対して向こう一年間の基本的政策や政治方針を示すために行う演説。