2017年2月23日

2月23日 危機迫る物流業界

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ヤマト、宅配総量抑制へ 人手不足受け労使で交渉 サービス維持限界
ヤマト運輸の労働組合が2017年の春季労使交渉で初めて宅配便の荷受量の抑制を求めたことが22日にわかった。人手不足とインターネット通販の市場拡大による物流危機で長時間労働が常態化していることが背景にある。「現在の人員体制では限界」として、要求に盛り込み、会社側も応じる方向とのことだ。深刻なドライバー不足を背景に、広がるネット通販を支えてきた「即日配送」などの物流サービスにきしみが生じ始めている。

ネットでボタンをクリックすればすぐ物が届く時代に社会の歪みが生まれ始めた。消費者に物を届ける最終段階は、やはり人の手が入る。代替手段として、近い未来にはドローンや自動運転を活用した宅配も始まるかもしれないがまだまだ試験段階だ。宅配業者にしてみれば物量は増え続け、消費者からの配送時間短縮等サービス向上の要請は強く、それに対応するため配送料を上げて人を確保したいがアマゾン等大口の顧客からの圧力もある。今回労働組合側から要望が上がったかたちだが、経営サイドが顧客の顔色を伺った結果反古にされる可能性は十分にあるだろう。その時悲鳴を上るのは結局現場の人間だ。四面楚歌のヤマト側の経営手腕が問われる。
「物流危機」と言われるまで物流機能の低下は以前から叫ばれていた。そもそもドライバーの数が足らないのではうまくいくはずもない。ただ、ピンチはチャンスを生む機会となる可能性がある。例えば欧米でシェアを拡大しつつあるウーバーの仕組みを利用し、時間を有効活用したい個人が宅配を担うようになるかもしれない。そこから新しいビジネスチャンスも生まれるかもしれない。ドローン配送については規制を緩和して導入を後押しする地方自治体も生まれている。スマホで荷物受取を援助するサービスもある。不足を補うためのイノベーションに新時代の萌芽を期待したい。

(市川 淳)

物流危機・・・消費地や取引先にモノが運べなくなったり、配達に遅れが出たりするなどの物流機能が著しく低下する事態。背景にあるのが7万人にのぼるとされるドライバー不足。ネットショッピングの拡大などで宅配荷物量が増加、即日配送などの「小口・多頻度」輸送が拡大し、それに欠かせない長距離ドライバーの不足がさらに加速する見通しとなっているため。