2017年2月8日

2月8日 元の価値

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中国外貨準備 1月末、3兆ドル割れ 5年11カ月ぶり
中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した1月末の外貨準備は2兆9982億ドル(約336兆円)となり、2011年2月末以来5年11カ月ぶりに3兆ドルを下回ったもようだ。人民元の急落を防ごうと人民銀が元買い・ドル売りの為替介入を繰り返したためとのこと。人民銀は外貨準備を減らさず元下落に歯止めをかけるため、資本規制を強めて金融政策を引き締め気味にしている。

中国人民銀行による元の通貨価値を守る背景には中国富裕層の強烈なエゴが見てとれる。特に8,000万人を超す共産党の党員の焦りが自己資産を含めて中国の資産が元安で価値が毀損するのを防ごうとしている。そしてドルを始めとする外貨を売り、元を買って為替相場を支えた結果、国内の外貨が急速に減っているのだ。
中国元は昨年、国際通貨基金による特別引出権の採用を受けた。これにより、国際通貨基金に参加する国が元で借金を行うことが容易になったことになる。アジア圏やアフリカ諸国にある発展途上国の旺盛な資金需要を満たすためにも重要な決定であっただろう。中国側としても開発需要を取り込む商機であった。特別引出権の採用の条件には安定した通貨価値が重要となる。外貨準備が減り続けた未来にはあるのは対外的に支払いが起きた際に十分な外貨が無く対応できない事態が想定される。中国はアメリカを始めとして多額の借金を外貨で借りているのが現状だ。その利払い、返済を含めて外貨準備は重要となる。返済不能といった事態に陥ると国家財政が破綻し、元の価値が急落する可能性もある。その時、もはや支える外貨は無いだろう。トランプ米大統領が指摘するような貿易上の利益を求めての元安誘導など、今の中国にはもってのほかで、見当違いの指摘だ。昨年1月の中国発の金融危機に似た兆候が現れている。今後も中国の動向に特に注意が必要だ。

(市川 淳)

外貨準備・・・ 各国の通貨当局の管理下にある、直ちに利用可能な対外資産のこと。通貨当局が急激な為替相場の変動を抑制する(為替介入)ときや、他国に対する外貨建債務の返済が困難になったときなどに用いられる。