2017年1月31日

1月31日 投資家の責任

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信託銀、異例の東芝提訴へ 投資家の利益優先
日本最大の機関投資家である信託銀行が大口取引先の東芝を訴えるもようだ。不正会計問題を受けた株価下落で預かり資産が目減りしたとして損害賠償請求を起こすとのこと。年金基金など投資家の利益を優先した判断だが刑事事件になっていないケースでの提訴は異例のものだ。金融庁主導で進む機関投資家改革が背景にあると思われる。次は生命保険会社がどう動くかが焦点となるだろう。

「フィデューシャリー・デューティー」。昨年、「スチュワードシップコード」と共に新聞、ニュースに頻繁に出てきた言葉だ。大きな概念でいえばどちらも投資家の権利・利益を保護するための制度設計が背景にあるだろう。英米で急速に進むこの流れが日本にも浸透しつつある。今回の信託銀行の判断はその風潮に則ったものとまずは頷ける。信託銀行は顧客から預かった資産の価値を守る義務があるからだ。しかし、個人的には疑問がまず頭に浮かぶ。投資は自己責任で行うのが原則だということだ。資産価値を高めるために、外部にそれを委託しようと自分で直接運用しようと、それは自分の判断だ。東芝が情報開示の義務を歪めた結果損害を受けたとはいえ、そこに投資したのは直接間接関わらず投資家自身だ。投資家への開示情報に虚偽記載がある、と東芝側を責めるだけの姿勢を見ると信託銀行含めて投資家側の責任はどこにいったのかと思ってしまう。表に出ている情報だけで投資をするならばこの世の中に儲ける投資家はいないだろう。表の情報は誰でも知ることができるからだ。企業の成長性と、抱えるリスクを等身大の企業を見つめることで見極める必要がある。それが、本来の投資の姿と、投資家の果たすべき責任だと思う。

(市川 淳)

フィデューシャリー・デューティー・・・「受託者責任」と訳される概念で、資産運用を受託した者が、もともとの資産保有者、つまり資産運用を委託した者に対して負う責任を言う。運用会社など金融機関は、資産を預けた人の利益を最大化する事に務めるのが義務で、利益に反するような行動は取ってはならない、ということが求められる 。