2017年1月17日

1月17日 薄氷の上を歩む英国

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

英ポンドまた急落 EU強硬離脱に警戒感
16日の外国為替市場で英ポンドが売られ、対ドルで一時2%近く急落した。メイ英首相が17日の演説で欧州連合(EU)単一市場からの撤退を表明すると複数の英メディアが報じたのをきっかけに、英政府がEUからの強硬離脱に向かうとの観測が強まった結果、ポンド売りにつながった。欧州経済の先行き不安が広がり、東京株式市場では関連株が下落した。

昨年の国民投票の結果EU離脱を決めた英国だが、今度はどういうかたちで離脱するかという「ハードブリグジット問題」に揺れている。英ポンドは、昨年離脱決定で半世紀ぶりとなる大幅下落を記録し、いざ離脱が決まってからは具体的な離脱プランが曖昧で更に下落し、今回は離脱が国益を損なうおそれがあるからとまた急落した。本当に離脱決定は正しかったのか?と疑ってしまう。通貨の力はその国の力を表す。通貨が売られるということはその国の国力が下がっていると言い換えることができる。だから、輸入品は高くなるし、外からみればその国の物が安く買える。イギリス国民の生活を考えるならばどんどん国内が貧しくなる決定だったのではないかと思ってしまう。
しかし、足元で英の株価は陰りが見えない。かえって英で事業を行う日本企業の方が株価の下落が激しい。何故か?輸出企業がポンド安による恩恵を受けているのがその一因だ。前述の通り、海外で物を売る企業にすれば自国通貨安は歓迎することだ。企業の業績があがれば株価は上がりやすい。結果、潜む問題は表面に出づらくなる。今後EUとの交易が少なくなるようなことがあれば、そもそも国外で物が売れず通貨安の恩恵が剥落する。EU離れから米国に接近しているという話もあるが、保護貿易を標榜するトランプ次期政権との交渉は容易ではないだろう。EUから離れた英国だが、世界から孤立する可能性は高まっている。

 

(市川 淳)

ハードブリグジット・・・英国がEU離脱(ブレグジット)に際して、独自の移民政策の採用を優先し、単一市場へのアクセスを犠牲にする決定をすること。対比して使われる言葉に、単一市場へのアクセスを重視する「ソフト(穏健な)ブレグジット」がある。