2017年1月10日

1月10日 トヨタの思惑

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トヨタ、米で1.1兆円投資 社長が表明 トランプ政権にらむ
トヨタ自動車の社長である豊田章男氏は9日(現地時間)、同日に米デトロイトで開幕した北米自動車ショーの会場で記者会見し、今後5年間に米国で100億ドル(約1兆1600億円)を投資すると正式に表明した。トランプ次期米大統領が自動車メーカーに米国での投資や雇用を拡大することを求めており、それに応える格好になる。

先週末からのトヨタの動きに、同社の動揺と米トランプ新政権への露骨なご機嫌取りを感じてしまう。メキシコでトヨタが建設中だった新工場についてトランプ次期大統領が非難をしたことに対し、トヨタ側は「米国の雇用を減らすものではない」と苦しい言い訳で応えた。週明けて今回の米国への直接投資の発表とは、どうもタイミングが良すぎるように見える。当然、計画は以前から進んでいたのだろうが、この時期での発表には巨大な北米市場を切り捨てられないトヨタの焦りが感じられる。
今後、改めてトランプ新政権が始動すれば、こうした要求や非難が繰り返されることになる可能性がある。その度に、日本の企業は右へならえと従っていくのだろうか。かつて日米貿易摩擦が深刻化した時代、日本製品が米国の雇用を奪い市場を席巻することから日本バッシングが頻発した時代があった。市場が右肩上がりならば多少の非難もはね返す力がでるかもしれないが、世界的に市場縮小の続く現在で各国の協調が必要となるのが事実だ。自国の都合を押し付けるだけでは良好な外交関係は築けない。それは欧州や中国に関しても同様だろう。目下大型車を中心に北米の自動車市場は概ね好調だが、FRBが利上げに動いたことから今後米国での金利上昇が進むだろう。その時、カーローン市場の縮小から深刻な販売不振になることも考えられる。その時、世界の企業から背を向けられたら困るのは米国自身だ。自らの首を絞めないようトランプ次期大統領には責任をもった発言をして欲しいと思う。

(市川 淳)

日米貿易摩擦・・・第二次大戦後、日本経済が国際競争力を回復するつれ、日本からアメリカへの輸出が増加しはじめた。日本の輸出は「集中豪雨的輸出」ともいわれ、相手国の産業に大きなダメージを与える。そのため貿易問題は政治問題化し、日米貿易摩擦とよばれるようになった。