2016年12月15日

12月15日 年金不安の現実

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年金給付抑制へ一歩 支給額は賃金連動、デフレ下では制約      
年金の給付をいまより抑える新しいルールを盛り込んだ改正国民年金法が14日に成立した。現役世代の賃金が下がったときに高齢者が受け取る年金の額も減るのが特徴だ。将来世代の年金を確保するための改革だが課題はなお多い。

現行制度を維持したまま今後数十年間年金給付を行うのに必要な財源は1,300兆円という試算がある。現在GPIFにある運用資産が約130兆円と、十倍の開きがある。これでは年金受給が不安というより年金受給は不可能といわざるを得ないだろう。今回、年金支給額を抑制する法案が可決されたのもそんな状況を考えれば致し方ない決断だとは思う。今回の決定で、世の中全体の賃金が下がった場合年金の支給額を引き下げることが決まった。現役世代の賃金が下がった場合は高齢者にも負担を担ってもらう「痛み分け」の方式だ。しかし、世の中の物価が上がって年金を含む収入も減った場合は深刻な景気後退が待ち受けている。スタグフレーションという現象だ。今後、少子高齢化が進み生産人口の減少が続いた場合、深刻な供給力不足から物価の高騰を招く可能性はある。スタグフレーションが過去に起きた例として1970年代に起きたオイルショックが挙げられる。原因はいくつか説があるが、直接的には中東からのオイル供給が不足する懸念から物価が高騰し、国民の生活が大混乱に陥った。勿論、当時景気とは関係なく物価だけが上がったために生活は極端に苦しくなった。年金額を物価に連動させていたのはこうした不幸を防ぐという狙いもあったのではないか。国民の生活をいかに守るかといった根本的な問題は議論せず、財源がないので支給抑制の方法だけは決定する、そんな国には頼れない。自分の生活は自分で守る必要があるだろう。

(市川 淳)

スタグフレーション・・・景気停滞 stagnationと物価上昇 inflationの合成語で,これらが共存する現象をいう。物価水準は一般的傾向として好況期には上昇し,景気停滞期には低下するが,1970年以降欧米先進国で生産が停滞し,失業率が増大するなど停滞期にもかかわらず,物価は好況期に引続き高騰するという傾向が顕著になった。