2016年11月22日

11月22日 独走するドル

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ドル一強 マネー集中 新興国からは流出 
トランプ次期米大統領の誕生を機に、世界の投資マネーの流れが変わってきている。資金は米ドルに集中し、21日にはドルの総合的な価値を示す実効レートは過去最高値を更新した。ドル独歩高は2週間弱で6円超という円安を生み、日本株にも資金が流入している。結果、日経平均株価は約10カ月半ぶりに1万8000円台を回復した。ただドルへの還流は新興国からの流出を伴い、不安定な相場展開を懸念する声も広がっているもようだ。

世界通貨のなかでドルが独歩高を演じている。背景にあるのは次期アメリカ大統領トランプ氏が強調する財政出動と減税に伴うインフレ期待から資金が米株式に集まってきていることがある。また年末にFRBの利上げ観測もあり、ドル高に拍車をかける動きとなっている。対ドルで円安も進行し、ドルベースで割安となった日本の株式市場にも追い風となっている。ダウ、日経平均ともに順調だ。だが、トランプ大統領万歳!と手放しには喜べない。
投資に回っていたマネーがアメリカに戻った結果、新興国からマネーが流出している。急激なマネーの移動は経済に深刻な影響を与える。歴史を振り返ると1997年、タイで起こったバーツ危機が挙げられる。世界のヘッジファンドを中心としてマネーが急激にバーツから引き上げられた結果、深刻な通貨安となった後も資金の流出は止まらなかった。国のインフラを整える資金が急速に失われていき、バンコク市内、郊外に建設途中のビルや橋、道路が放置されたまま廃墟と化していった。私がバンコクに赴任していた時にバンコク郊外で見た、先が途切れ行く先のない橋が草原のなかに並ぶ光景はとても寂しい感じを受けた。今、急激に通貨安が進んでいる国の一つに韓国がある。日本にとって隣国であり貿易相手国でもある国の事だ。もし今後韓国国土が荒れて経済に打撃を受けたとして、他人事では済まない。強者のみが残り、弱者を切り捨てる世界経済ではなく共に発展できる関係であれば、と思う。

(市川 淳)

実行為替レート・・・多数の国の通貨が取引される外国為替市場における通貨の相対的な実力を図る指標。対象となるすべての通貨との2通貨間為替レートを、貿易額などに応じてウエート付けして算出したもの。国際決済銀行(BIS)や各国の中央銀行が集計・公表している。物価の変動による影響を考慮して調整した数値を実質実効為替レート、調整前の値を名目実効為替レートという。