2016年11月15日

11月15日 二枚舌の真意

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トランプ新政権、まず安定重視 側近人事で党配慮 過激公約は微修正 
ドナルド・トランプ米次期大統領が、安定した政権運営に向け動き出した。選挙戦で対立した共和党主流派の協力を得るため政権の要の大統領首席補佐官にプリーバス党全国委員長を起用すると発表。不法移民の強制送還は一部にとどめるなど看板公約の一部も修正し始めたもようだ。大統領選では過激な発言に賛否が分かれたが、当選後は現実主義者の顔ものぞかせている。

選挙中の過激な発言は影をひそめ、トランプ新政権に向けた足場固めが始まっている。かつての政敵だったヒラリー・クリントンへの配慮や核保有に対する軟化態度、オバマケアに対する一部継承の意志表明など、選挙公約が刺激を求めた強烈なアピールに過ぎなかったのではないかと感じてしまう。しかし、選挙が終わってみれば過去の発言に比べてソフトになっただけで、筆者にはトランプ氏の発言は未だ国民感情を置き去りにしたものに映る。例えば、メキシコ国境に壁をつくりメキシコからの移民を排除するといった公約だ。選挙後は壁をフェンスにすると言い出した。万里の長城やベルリンの壁などを思い浮かべるとフェンスというと確かに簡易なものを思い浮かべる。しかし、数ヶ月前にテレビで見たシリア難民がドイツを目指してトルコ国境を越える際の鉄柵、フェンスの映像は筆者の記憶に新しい。皆、服が破れ皮膚が裂けるのも構わず鉄柵を壊し、フェンスを跳び越えて進んでいた。フェンスだろうが壁だろうが、国を隔てる大きな溝となるのは間違いない。依然アメリカ国内の移民の反発は根強く残る。今回、過去に犯罪を犯した人間を強制送還する方針だが、ではその家族はどうなるだろう。夫が妻が子供が自国に送還されるのを見送るわけにはいかないだろう。
実業家としてもやり手のトランプ氏の事だ。先に刺激の強い主張をして、譲歩した態度を見せて本当の要求を通す手法は、見事だと思う。ただ、一国の長として国民を置き去りにはして欲しくない。

(市川 淳)

公約・・・選挙公職を争うとき,政党や候補者が,当選後実現すべき政策について有権者に向けて表明する約束。当選者が選挙公約に拘束され,実現の努力を行うことは責任政治の重要な構成要素である。