2016年10月27日

10月27日 需要の変遷 

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単身世帯、3分の1超す 国勢調査 若い男性や高齢女性 
総務省がまとめた2015年の国勢調査によると、地方で高齢化が一段と進んでいるもようだ。若い世代が東京をはじめとする都市部に移り住む流れに歯止めがかからず、平均年齢はどんどん上がっている実態が現れている。ひとり暮らしの世帯が初めて全体の3分の1を超すなど、家庭のかたちも大きく変わってきている。

少子高齢化、出生率の低下、未婚率等、国勢調査による数字は日本のリアルな実態を映し出す。晩婚化の進む若い世代だけではなく、一人暮らしの高齢女性も増えている。勿論、概して男性よりも寿命の長い女性が連れ合いを亡くして、というかたちもあるだろうが近年増えている熟年離婚も一つの背景となっている。一人暮らしに戻ったそういう世帯は広いファミリータイプよりも家賃も安く掃除も楽なワンルームタイプや1LDKといった小振りな住居に引っ越すことが多い。「日本は人口が減っているのであらゆる需要が減り、景気は向上しない」と悲観論者は日本の人口構造をあげつらうが、一部の現象を指摘しているに過ぎない。要は、需要の行き先がどこに向かうかが変わるだけなのだ。
かつて日本がバブルといわれる好景気に沸いた時代、需要を引っ張ったのは団塊の世代と呼ばれた1940年代後半生まれの住宅購入欲だった。第一次ベビーブームのなかで兄弟4人、5人で生まれ育った彼らにとっては、広い家で家族が共に住むのが普通のことであり、自分の家庭に求める夢だった。しかし、次男坊以下には自宅の相続もない。地元にはいい働き口もない。仕事を求めて首都圏に流れ込んだ結果、地価が高騰した。そして当時は特に東京の西部の戸建て住宅に人気が集中し、現在の田園都市線・東急東横線沿線にある高級住宅街が生まれた。土地付きの家が欲しい、純粋な需要がバブルの発端だった。時代は変わり、今後、需要が生まれるのは首都圏の単身者向けマンションだろう。場所もより都心向きに移ってきている兆候がある。調査で出てきた数字は嘘をつかない、そこから感じる需要の変化に柔軟に対応することが重要であろう。

(市川 淳)

国勢調査・・・日本に住んでいるすべての人及び世帯を対象とする国の最も重要な統計調査で、国内の人口や世帯の実態を明らかにするため、5年ごとに行われるもの。国勢調査から得られる様々な統計は、国や地方公共団体の政治・行政で広く利用されたり、民間企業や研究機関などでも経営や研究などの基礎データとして幅広い用途に利用されている。 また、国勢調査の結果は、将来人口推計や国民経済計算(SNA)などの他の統計を作成するための最も基本となるデータとして用いられる。