2016年10月20日

10月20日 オイルマネーの変調 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

サウジが海外で初の国債 新興国最大1.8兆円 
世界最大の原油輸出国であるサウジアラビア政府が19日、ロンドンやニューヨークなどで募集する国債の発行条件を決めた。発行額は175億ドル(約1兆8000億円)に達する見通しだ。海外の起債は初となる。新興国の政府・企業による債券の発行額としては過去最大の規模。サウジは調達した巨額の資金を使って「脱石油」の経済改革を加速させる。

中東の国家の様子が変わって来ている。今年は原油安による産油国の不調が世界の金融市場に大きな影響を与えた年だった。それだけオイルマネーの動向は世界中に大きな影響力を持つ。サウジを始め、産油国はこれまで、出てくる原油を売って国の財政を成り立たせてきた。国民から高い税金を徴収することなく、福祉、インフラ整備を行う財源が国土から溢れているという、日本からみれば非常に羨ましい状況だった。しかし、オイルがいつまで出てくるかは分からない。明日とは言わないが、十年先も安定した収入となり得るかは分からない。そこで政府は今回国債を発行し、集めた資金を他の産業を育成させるための投資に向ける。
今回、この国債の格付けは「AAマイナス」。日本の国債が「Aプラス」であることを考えると、それより一段階信用力が高い。つまり、日本が破綻するよりサウジが破綻する可能性が低いと格付会社が評価しているということだ。これで10年満期の国債で3.4%台の金利がつく。ゼロ%を切る異常な低金利の状態にある日本国債に比べ、金利面から見てもより魅力的だろう。しかし、これは裏返せば投資家は格付会社の評価を信用せず、サウジの国債のリスクを見込んでいる事を表わしている。実は、格付会社の評判は当てにならない事も多い。かつて存在しない日本国債を格付けしていた例もあるくらいだ。中東産油国の未来、投資家が見込む未来は決して見通しの良いものではなさそうだ。

(市川 淳)

格付会社・・・国や企業が発行する債券や金融商品などについて、元本や金利が約束通り払われない債務不履行の確率を分析し、アルファベットなど簡単な記号でランク付けする。米S&P、米ムーディーズ・インベスターズ・サービス、欧米系フィッチ・レーティングスが代表的。