2016年10月7日

10月7日 なんともちぐはぐな「配偶者控除」議論

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配偶者控除存続の方針

政府・与党は2017年度税制改正で、専業主婦を優遇する配偶者控除の廃止を見送る方針。配偶者(妻)の年収要件をいまの「103万円以下」から引き上げる小幅な見直しにとどめる方向で検討する方向だ。財務省は対象者の増加で税収が減るのを避けるため、世帯主(夫)の年収が1000万円超の世帯は適用対象から外す案を軸に与党と調整を開始した。

思わぬ早期決着な上に、整合性に欠けた内容に拍子抜けです。これまでの議論は何だったのか、茶番に思えてきます。アベノミクス新三本の矢では「夢紡ぐ子育て支援」を掲げ、特に安倍首相は「女性が活躍する社会」を大きな旗印にしていたと私は理解していました。今回の政府の見直し案では、世帯主の年収が1000万円を超えていれば配偶者控除の適用外になる、つまりは103万の壁がなくなるというもの。裏を返せば、夫が高年収であれば妻もどんどん仕事をして稼ぐという動機が働きます。それに対して低所得者世帯の場合は、新たにできる150万の壁を目安に勤労意欲を削ぐ内容になっています。これでは「世帯ごとの所得格差がますます広がる」と考えるのが普通の感覚だと思うのですが、これが安倍首相の考える「女性が活躍する社会」の設計図の一部なのでしょうか。もちろん高所得者(夫)の税負担は重くなりますので、所得格差に配慮していないとは言いません。しかし、所得が高い世帯であれば、お子さんを預けて共働きをするメリットが大きくなる場合も多いと考えられます。ちぐはぐな制度設計では国民の理解は得られません。目先の選挙を考えて、与党内で意見を調整することが目的になってしまっています。

(ナカモト)

配偶者控除・・・配偶者控除は主に夫が働き、妻が家事を担う家庭を想定し、夫の所得税を安くする仕組み。妻の年収が103万円以下なら、夫の課税所得が年38万円少なくなる(控除される)。年収が103万円を超えると控除額は徐々に少なくなり、141万円以上だと控除の対象から外れる。満額の控除を受けられるよう、妻の年収をあえて103万円以下に抑えている世帯もあり、女性の就労を妨げる「壁」との指摘がある。