2016年10月4日

10月4日 輝く研究 

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ノーベル賞に大隅氏 細胞内の「リサイクル」解明 生理学、医学賞 
スウェーデンのカロリンスカ研究所は3日、2016年のノーベル生理学・医学賞を大隅良典・東京工業大学栄誉教授に贈ると発表したもようだ。授賞理由は細胞内で役目を終えたたんぱく質を掃除するオートファジー(自食作用)の働きに関する研究とのこと。授賞式はストックホルムで12月10日に開く予定だ。

ノーベル賞の受賞者が決定した。大隅良典栄誉教授は東京工業大学で教鞭をとる基礎研究の権威だ。今回で日本人の受賞者は25人目となる。世界に誇る日本の研究・技術をこれからもどんどん発信していって欲しいと思う。
欧米に比べ、日本人は基礎研究分野での進展が遅いと言われている。反対に強みがあるのは応用研究で、元々ある研究や技術を発展させるかたちで成果を上げることを得意としている。日本の歴史を紐解けば、明治以降欧米列強の生産・軍事技術・文化・思想を取り入れ、そこから独自のかたちに仕上げていった流れがある。もともと、そうした基礎や素材を外部から仕入れて発展させていくのは日本人の強みと言える。対して、物事や現象の仕組みや根本的な構造といったいわゆる基礎研究分野は相対的に日本は弱い。何故か。一つは先程申し上げた日本における学問の発展した経緯。もう1つは、研究に商業的な利益が求められる風潮が他国に比べて強いという点だ。それで、短期間で利益に直結しづらい基礎研究は日本では発展しにくいという事情がある。しかし、利益至上主義が研究の世界に蔓延すれば可能性をどんどん狭める事になるだろう。本来、学問とは何か。それは純粋な好奇心から生まれ、地道な研究を続け、人類の発展のため自らの生涯を捧げる姿ではないか。少なくとも、ノーベルが残した遺志はそうした商業主義からは遠いところにあったと思う。約30年に及ぶ長い研究の末に報われた今回の大隈氏の姿は、純粋な研究者のそれに私には映る。おこがましいようだが、心から讃辞を申し上げたいと思う。

(市川 淳)

ノーベル賞・・・ノーベル賞(ノーベルしょう)は、ダイナマイトの発明者として知られるアルフレッド・ノーベルの遺言に従って1901年から始まった世界的な賞である。物理学、化学、生理学・医学、文学、平和および経済学の「5分野+1分野」で顕著な功績を残した人物に贈られる 。