2016年8月17日

8月17日 高級ブランドの打つ手

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海外高級ブランド、円高で7~10%値下げ カルティエやグッチ
海外の高級ブランド大手が相次いで値下げすることとなった。仏ヴァンクリーフ&アーペルは17日、宝飾品や時計などを平均7~8%値下げするほか、スイスの高級腕時計「IWC」も22日に8%引き下げるもようだ。日本での高級ブランドは仏カルティエや伊グッチが値下げしたばかりだ。円高による割高感を抑え、販売拡大につなげるねらいだ。

海外の高級ブランドが相次ぐ値下げに動く理由に、「円高」という表現が使われていることに違和感を感じる。確かに海外ブランドの場合、商品を海外から輸入することが多いため、円高の進む足元の状況では値下げをしても採算が合う。しかし、ここ一年ほど日本国内の高級ブランド品の需要を支えてきた訪日外国人のインバウンド消費の陰りからの苦肉の策という印象がある。中国やアジア、欧米からの観光客の増加も、金融緩和が始まって以降の円安が背景にあった。通貨安のメリットが無くなった以上、商品やサービスの内容で勝負するしかない。安易な価格競争は市場全体を縮小させる結果を招きかねないからだ。私がかつて宝飾業界にいた時の、販売戦略でタブーとされていた事が二つある。一つがテレビCMで、一つがバーゲンだ。CMについては企業によって方針が異なるだろうが、私のいたブランドでは安っぽいイメージが定着するとして嫌っていた。バーゲンについては一度値段を下げると定価で買って頂けなくなるためやはりタブーだった。もうすぐ宝飾・ブランド業界はクリスマス商戦に向けた企画に入る。今期のクリスマスの商品の価格帯に関して、今回下げた価格を反映することになるだろう。このタイミングでの値下げは、年間売上を大きく左右する時期であることを考えるとブランド業界の禁じ手に近い。苦肉の策が、功を奏すか、甚だ疑問である。

(市川 淳)

インバウンド消費・・・日本を訪れる外国人観光客による国内での消費活動のことを指す。近年、円安進行や訪日ビザ緩和、所得水準向上などから、特に近隣アジア諸国からの訪日観光客が急増している。また、日本国内においても、インバウンド消費が日本経済に寄与する効果が大きいことから、行政の方では免税対象範囲の拡大や訪日観光の支援、一方で民間の方ではホテルや百貨店、免税店などが外国人向けのショッピングツーリズムを支援・強化するなど積極的に取り組んでいる。