2016年8月16日

8月16日 通貨で揺れる企業業績

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企業業績、減速感強く 円高逆風、経常減益に 「稼ぐ力」は強まる
上場企業の業績に減速感が強まっているもようだ。2017年3月期は経常減益に下振れする見通し。通期で減益なら5年ぶりとなる。期初時点では小幅増益を見込んでいたが、円高の影響で自動車など製造業を中心に業績が低迷している現状だ。想定為替レートも実勢より円安水準にとどまったまま。販売数量が伸びるなど「稼ぐ力」は強まっているものの、円高による外部環境の悪化を補いきれない。

円高が日本企業の業績に暗い影を落としている。車や工作機械等、輸出が売上に占める比率の高い企業の場合、円高が進んだ場合には円ベースでの手取り収入が減ってしまう。2008年のリーマンショック時には安全資産とされる円が買われ、一ドル100円超から80円の半ばまで円高が進んだのを端緒に、その後、2011年に東日本大震災が起きた際には一時一ドル70円台半ばまで円高が進んだ。復興のために円が必要であることや、保険会社の支払いのために円の需要が急速に進んだ事が背景にある。その後大規模な金融緩和の効果もあり、円安が進んだが、イギリスのEU離脱や世界的なテロへの恐怖等、不透明感の漂う空気のなかで安全資産として円が再度買われている。こうして本業とは関係のないところで日本企業の収益力が損なわれるのは如何なものとかと思う。また、普段国内にいると強く意識することは少ないかもしれないが、海外に長期滞在する人間には為替の変動は無視できない。自分はリーマンショックの前後は海外の企業に勤務していて給料は外貨で受け取っていた。普段生活する分には問題ないが、一時帰国の際に日本円に両替すると、手取りの少なさにびっくりしたのを覚えている。なにより、外貨建てで貯めていた貯金は帰国時には大きく目減りしていてショックだった。それ以来銀行の前を通る時はボードで為替の動きを確認するようになったものだ。経済がグローバル化してくるなかで、為替に対して無為無策では大切な資産を失う危険がある。企業だけではなく、個人も為替の動きに注意する必要があるだろう。

(市川 淳)

経常利益・・・営業利益に営業外収益(受取利息、受取配当金、有価証券売却益など)を加え、営業外費用(支払利息、有価証券売却損、有価証券評価損など)を差し引いたものである。 資金調達の巧拙を含めた、企業の経常的な採算性を表す指標であるといえる。