2016年7月12日

7月12日 イギリスに吹く新風

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英首相にメイ氏、26年ぶり女性 レッドソム氏撤退
英国のテリーザ・メイ内相(59)がキャメロン首相の後任になることが11日決まったと発表された。13日に後継の首相に就任し、英国で故サッチャー氏以来26年ぶりに女性首相が誕生することになる。次期首相を選ぶ英保守党の党首選で11日に、メイ氏と争っていたレッドソム・エネルギー担当閣外相(53)が選挙戦からの撤退を発表して、党首選は終わった。

キャメロン首相の辞任から2週間、イギリスの新しい代表が決まった。今回前倒しで就任が決定したのは、ライバルであったレッドソム外相の失言や、党内部での政治不安を早期に改善したいとの思惑もあったようだ。多少結論を急ぎすぎた感も否めないが、頭を失った状態では何も決定しない。国民投票という民意に問うた結果のEU離脱という決断について、早い段階で実行に移していかなければ国民の不満は堆積するだろう。メイ首相の強いリーダーシップが望まれる。EUの先導役、ドイツの新聞にも今回の早期首相決定を賞賛する声が載せられていた。メルケル首相もメイ政権の誕生を歓迎している。イギリス離脱問題で揺れたドイツを含むEU加盟国ではあるが、いざ離脱が決定してからは迅速な対応が要求される。彼らEU諸国民も、イギリス国民も、心中は共通している。それは不安定なまま、今後どうなるか分からない曖昧な状態が最も不安で嫌だという心理だ。今回26年ぶりの女性首相となるが、26年前は保守党サッチャー首相が政権をとった。彼女が現れる前のイギリス経済は「イギリス病」と呼ばれ、長期的な不況のなか漠然とした不安が国民のあいだに蔓延していた。サッチャー首相はそんな状況を打破しようと、多少強硬で強引な手法をとったため他の議員や国民に冷徹な印象を与え、ついたあだ名が「鉄の女」。しかし、手法はどうあれ、イギリス経済を復興させたのは事実で、歴史的評価も高い。歴史は繰り返すというが、今回のメイ首相の活躍に期待したい。

(市川 淳)

イギリス病・・・経済が停滞していた1960年代以降のイギリスにおいて、充実した社会保障制度や基幹産業の国有化等の政策によって社会保障負担の増加、国民の勤労意欲低下、既得権益の発生等の経済・社会的な問題が発生した現象を例えた日本における用語である。1960〜1970年代のイギリスは、労使紛争の多さと経済成長不振のため、他のヨーロッパ諸国からヨーロッパの病人(Sick man of Europe)」と呼ばれていた。