2016年7月5日

7月5日 増え続けるお金

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マネー潤沢、上がらぬ物価 日銀資金供給、初の400兆円超え 緩和効果に懐疑論も
日銀が供給するマネーの総額が、6月末段階で初めて400兆円を超えた。日銀は資金供給を増やせば脱デフレが実現できると主張するが、足元の物価は前年の水準を下回っており、日銀が目指す2%の物価上昇は遠いのが現状だ。市場の一部では追加緩和期待もくすぶる一方で、金融政策の限界も近づきつつある。

お金の量は増えども、物価は上がらない。英語のことわざに、「飲み場に馬を連れて行っても、のどが渇いていていなければ水は飲まない」というものがある。営業現場やビジネス研修等で多用される言葉であるが、需要を超える供給は効果がないという意味合いがある。異次元緩和開始時、黒田日銀が掲げた旗の一つにデフレからの脱却がある。そのために今している事は、世の中に出回るお金の量を増やして物価を引き上げることだ。異次元緩和前にマネタリーベースで134兆円だったお金の量が、昨年7月に300兆を超え、先月末にとうとう400兆円を超えた。年80兆円のペースで資金供給を増やすと緩和開始時に日銀は宣言していたが、実際にはそれ以上のペースで増えている。紙幣を刷れども刷れども上がらぬ成果に、日銀の焦りが感じられる。多少専門的な話になるが、「マーシャルのk」という金融用語がある。計算式を単純化すると、「マネーサプライ/名目GDP」で求められる。世の中に出回るお金の量が増えれば大きくなり、また数字が大きければ大きいほど、お金が世の中に余っている状態を表わす。つまり、利用されていない死に金の規模を表わしているともいえる。基本的に経済の規模が大きくなればこの数字は大きくなる傾向にあるが、この数字が短期間に極端に大きくなる場合は経済に良くない事が起こるとされている。過去の日本の歴史においてはバブル経済の頃に大きく直近のトレンドから乖離した経緯がある。バブル経済の結果は読者の皆様が良く知るところだろう。歴史から学び、数字の放つ警告に耳を澄ます必要があると思う。

(市川 淳)

マネタリーベース・・・マネタリーベースは、マネーストック(世の中に出回っているお金の総額)の基となる通貨という意味で、ベースマネーとも呼んでいます。また、この通貨が大きな預金通貨を生み出す強い力を持っているという意味で、ハイパワードマネー(強権貨幣)と呼ぶ場合もあります。マネタリーベースは、現金通貨(日銀券、補助貨幣)と、民間金融機関の法定準備預金(日銀当座預金)を合計して求めます。