2016年6月28日

6月28日 英EU離脱が導く未来

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欧州景気「半年後悪化」51% 25%英事業見直し検討
英国の欧州連合(EU)離脱決定を受けて、日本の主要企業の経営者が景気の見通しに警戒感を強めている。日本経済新聞社が27日、英EU離脱に関する「社長100人(緊急)アンケート」を実施したところ、経営者の過半が半年後の欧州景気について「悪化」と回答しているとのことだ。英EU離脱は欧州や世界の経済を揺さぶる見通しで、4社に1社が英事業見直しを検討していることも分かった。

イギリスのEU離脱決定後の世界は、まずは金融市場の混乱というかたちで始まった。その後、週末をはさんで市場の混乱も少し落ち着きを取り戻し、今度は実際にイギリスというマーケットのなかで国際企業がどう事業を展開するか検討する段階にある。イギリスがEUという保護貿易圏から離れるならば、直接影響受ける例として関税の負担がある。これまでEU圏内では関税を撤廃し、自由な物の動きが可能だった。仮に10%でも関税がかかればその分、直接利益が少なくなる。影響は貿易の面だけではない。金融業の面でもこれまでEU内で受けて来た恩恵は大きい。今回、米投資銀行ゴールドマンサックスがイギリス内の拠点を他国に移す検討を始めているように、EU域内で優遇されていた金融面での規制の問題を懸念する動きも出てきている。規制面での優遇については、例えば金融業を行うには各種届け出や免許が必要になるが、これがEU域内では一つで済んだ。それが今後は支店を他国に増やす度に必要になる。企業の負担は増し、事業のスピードが鈍る可能性がある。GDPの五倍という資産規模を誇るイギリスの金融業界に与える影響は大きいだろう。また、ポンド安から事業計画を見直す商社も多い。私の友人で日系書籍店のイギリスの駐在員がいる。日本の書籍を輸入し支払いを行う際にポンドの価値が低い場合に仕入れの負担が大きくなる。「本の売れ行きより、為替の動きのほうが気になる」と語る彼の様子は、イギリスで働く多くの人達の姿ではないだろうか。国民投票というかたちで民意を問い、公平に選んだ結果ではあるが、残留を望んだ人間が投票者の約半数いるのは事実だ。イギリスという国がバラバラにならないよう、慎重な政策運営が望まれるだろう。

(市川 淳)