2016年6月21日

6月21日 お客様に与えられる付加価値 

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パート賃上げ 正社員超え 流通・外食、今年2.20% 深刻な人手不足映す
深刻な人手不足を背景にして、パートなど非正規労働者の賃上げの動きが広がっている。流通業などの労働組合で構成するUAゼンセンでは、今春のパートの賃上げ率が初めて正社員を上回ったとのことだ。アルバイトの時給も上昇が続いている。今春の大手企業の賃上げは過去2年より鈍かったが、パートなどで働く配偶者の収入増で世帯収入が増えれば、力強さを欠く消費の下支え要因ともなりうる。

人材不足を補うため、賃金を上げて人を囲い込む動きが出ている。背景にあるのは深刻な人手不足だ。特に外食業界の人材不足が問題視されてからは久しい。大手牛丼チェーンでアルバイト店員が足らずに閉店を余儀なくされている事例があるほどだ。長時間、立ちっぱなし、やりがいを感じにくい職場で、給料も安い。職業の選択肢の多い現代で人材は常に流動的だ。結果、従業員が離れていくならばお客様も離れていくだろう。今回、待遇面の改善に乗り出したのは企業の窮余の策といえる。足元を見れば、デフレ脱却を掲げたアベノミクスも実態経済を回復するには至っていない。安売り競争を続ける限り、人材の安売りも続くだろう。経済全体が歩調を合わせてこの賃上げの動きを後押していかなければならないと思う。また、流通業界については、賃上げで人を囲いこむ動きの背景には、訪日外国人の対応に販売員が不足していることもあるだろう。外国語に対応できるスタッフの引き合いも強い。商品の説明がただできるだけではなく、適切なコミュニケーションを行える能力も必要になるだろう。自動化や機械化の進むなかで、例えば製造業や輸送に関わる業界では人の役割が過去よりも相対的に低くなってきている。そんな時代でも、人が人と接する時、「おもてなし」の精神で与えられる付加価値の存在はかえって重要性を増してくるのではないか。

(市川 淳)

非正規労働者・・・正社員以外の非正規雇用の形態で働く労働者、アルバイト、パートタイマー、契約社員、派遣社員などとよばれる労働者の総称である。通常は、時間当り賃金が正規労働者よりも低く、福利厚生面などでの待遇も悪い。半年、1年などの短期契約が多く、キャリアアップのための制度や正社員へ登用する仕組みも設けられていないことが多い。