2016年6月10日

6月10日 インバウンド消費のジレンマ

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訪日客対応ATMを悪用
5月15日、全国のセブンイレブン等のATMから偽造クレジットカードを使って18億円もの現金が引き出された。犯行は人けの少ない早朝に起き、ICチップで偽造対策をしていない海外のカード情報が利用された。訪日客向けサービスを逆手に取った形で、便利になった決済システムの落とし穴が露呈した。

国立競技場の建設計画や、現職都知事の政治資金流用など問題が続いていますが、2020年に東京オリンピックが開催されることは周知の事実。安倍政権は2020年までに年間訪日客4千万人を目指すという大きな旗を立てており、訪日客向けのATMは重要な金融インフラに位置付けられます。今回起きた事件では、南アフリカの銀行から流出した情報を基にした偽造カードを用いて、100人以上の「出し子」が一斉に不正引き出しを行いました。驚きなのは2時間半ほどのわずかな時間で18億円もの現金がATMから抜かれた組織力であり、逮捕されたのは日本人ですが、どこまで組織が広がっているのかまだ分かっていません。金融システムにかなり精通した者の犯行であり、システム整備の遅れが明らかになったのも事実です。
フィンテックを政府も後押ししており、その一環で訪日客向けにコンビニのレジで日本円を引き出せるよう規制を緩和する議論が始まっています。必要なサービスであることは間違いありませんが、今回のような隙を生むことのないよう万全の態勢を整えて欲しいものです。

(ナカモト)

インバウンド消費・・・インバウンド消費は、日本を訪れる外国人観光客による国内での消費活動のことをいいます。これは、旅行用語(観光用語)で、外から入ってくる旅行(訪日外国人旅行)を意味する「インバウンド(Inbound)」に由来するもので、近年、円安進行や訪日ビザ緩和、所得水準向上などから、特に近隣アジア諸国からの訪日観光客が急増しています。