2016年6月7日

6月7日  金属業界の未来

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JFE、全製鉄所を一体で運営 需給変動に即応 納期3割短縮、IoTも活用
JFEスチールは4製鉄所を含む国内全生産拠点の基幹システムを統合すると発表した。2022年度までに約700億円を投じる予定だ。拠点ごとに異なるシステムを一体運営するとのこと。世界の鉄鋼市場の先行きが不透明ななか、需給変動に対応するのが狙いだ。あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」を活用して生産コストを最大1割削減することを目標とする。巨大な設備を抱える製造業に同じ動きが広がる可能性がある。

鉄鋼業界にもインターネット技術を活用した業務効率化の動きが広がってきた。JFEスチールは、今までは各拠点ごとに管理していた工程管理や流通管理、故障や不具合の状況が一元的に管理できる仕組みを整える。無駄な在庫や重複した開発行為を省いたり、納期短縮による機会損失の抑制、人事異動に伴う管理面での混乱を無くす等、会社全体のコスト削減につながる。背景にあるのは昨年から続く、中国の需要減退に伴う鉄鋼業界の不調がある。売れないならば、費用を抑え、利益を拡大する必要がある。状況は向かい風だが、ピンチをチャンスに変える潮目ともいえる。実は、鉄鋼を含む金属加工の技術についてはまだまだ課題が多い。自分も昔、金属を溶解して成型する工場の管理を任されていたが、工程管理は当時、紙ベースで状況を把握し、温度や湿度の管理は技術者の経験や勘に頼る部分が大きかった。研究開発が進んでも、最適な温度管理、湿度調整、その他錆びや歩留まり、研磨精度等、金属加工にはまだまだ追いつかない課題が山積みなのが業界の現状だ。なので、状況をリアルタイムで把握しようにも情報が個人レベルで留まり、問題が発覚するまで時間がかかる事が多い。今後、インターネットを通じて個々人に蓄積された技術や経験、情報が共有できるようになると、この課題に風穴を開ける可能性が広がるだろう。自分も古巣で取り組んだ課題でもあり、業界の進化には非常に期待している。

(市川 淳)

IoT・・・IoTとは、コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせインターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。