2016年6月2日

6月2日  消費増税延期が映す日本の未来

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首相、消費増税延期を表明 19年10月に10% 「世界経済リスクに備え」「参院選で信問う」
安倍晋三首相は1日、首相官邸で記者会見をし、消費税の税率10%への引き上げを2019年10月まで2年半先延ばしすることを表明した。新興国経済の落ち込みなど世界経済の下振れリスクを挙げ「リスクには備えねばならない」との指摘があった。世界経済が新たな危機に陥ることを回避するため、政策総動員が必要だと強調した。増税再延期について7月の参院選で「国民の信を問いたい」と述べている。

6月2日朝方の日経平均は大幅に下げて進行している。消費増税延期を表明して明けての木曜日。市場参加者からの日本経済の未来に対するメッセージのように思える。本来、消費税が増額されると消費が減り、モノやサービスを提供する意欲が下がり、結果、日本全体の所得を下げることになる。今回の増税見送りは短期的にみれば国民経済にとって良いもののはずだ。しかし、街角のアンケートでは消費増税賛成6割に対して4割は反対という国民の声がある。たまたま今朝私がニュースで見た、インタビューを受ける青年の次のコメントが印象的だった。「将来が不安。十分な社会保障が受けられないくらいなら今のうちに財政を立て直して欲しい」彼はまだ25歳の社会人3年目。将来を見据え真摯に自分の未来を考えている姿は、選挙対策で足元の人気を追う政治家よりよっぽど頼もしく映った。勿論、首相の言うように世界的な経済リスクの存在も無視はできない。中国の景気減速から端を発する新興国の経済不安や、欧州の移民問題、原油安から中東経済も振るわず、政治、治安も含めて世界全体を覆う不安は巨大なものだ。仮に消費増税をした場合、日本の消費が落ち込み、他国に飛び火して更なる世界的な不況を招きかねない。それを回避しようとする行動自体は間違っていないだろう。しかし皮肉な事に、今回の増税延期は税金も上げられないほど日本の実体経済は回復していない、というメッセージを発信したことになるのではないか。未来へ負担を先延ばしし、次世代へリスクを渡す風船ゲームはどこかで断ち切らないといけない。

(市川 淳)

社会保障・・・社会保障は、個人的リスクである病気・けが・出産・障害・死亡・老化・失業などの生活上の問題について貧困を予防し、貧困者を救い、生活を安定させるために国家または社会が所得移転によって所得を保障し医療や介護などの社会的サービスを給付する制度を指す。社会保障という言葉は社会福祉と同義で使われることも多いが、公的には、社会福祉の他に公衆衛生をも含む、より広い概念である。